65%軽量化しても、安全は確保するウルトラライトな装備の選び方

限界まで装備を軽量化することで、疲労を軽減し、フットワークを高めることができるウルトラライト(UL)という考え方が流行しています。メーカーもウルトラライトに対応した製品をリリースしており、誰でも軽量で余裕を持った登山が可能になります。

ウルトラライトとは

安全と快適を充実させると装備は重くなります。装備の厳選と、個々の軽量化で総重量を軽くする事が可能。軽量でありつつ、そこそこの快適性を備えるのが「ウルトラライト(UL)」です。軽量になれば、体への負担が軽減され、山中で軽快に活動する事が出来ます。ここでは、最新素材の利用や、機能を厳選する事で軽量化を実現した装備をご紹介致します。




ウルトラライトの装備を紹介

登る山や、日数によって装備は変化します。ここでは、テントを使用した1泊2日の登山をモデルとして、ウルトラライトな装備を選びました。標準的な重量から、65%ほどの軽量化を目指します。

■リュック


リュックは機能を限定することで、かなり軽量化できる装備です。2気室ではなく、シンプルな1気室にするだけでも、かなり効果があります。

  1. 山と道 MINI
    山と道のラインナップの中で、1泊2日の行動に最適なサイズの30L、重量は340gという軽さです。
    「山と道」とは
    夫婦で創業したウルトラライトのリュックを生産するメーカー
  2. モンベル バランスライト30
    モンベルのラインナップで最軽量のリュックです。背面パッドが簡易マットになる機能付きで30L、468gです。
  3. (比較) モンベル チャチャパック30
    モンベルの軽量リュック、チャチャパックの30Lです。重量は1.18kg、ポケットや雨蓋、ジッパーなどの機能的で軽量な製品ですが、ウルトラライトと比較すると、やや重くなります。重量だけで、同じモンベルのバランスライト30と比較すると、1,180g−468g=712gの差になります。山と道ミニと比較すると、1,180g−340g=840gの差です。

■テント


テントは状況に合わせて、機能を絞ると軽量化が可能です。風が弱く、寒暖差が少ないなら、フライシートが無く、1本のポールで支えるテントで対応が可能です。ペグを省けば更に軽量となります。

  1. ビッグスカイウイスプ1P
    1本のポールで支えるタイプながら、居住性が良い軽量テントです。
    重量 590g
  2. (比較)モンベル ステラリッジテント1型
    モンベル1人用テントのロングセラー商品です。熟成された信頼の機能があり、さまざまな天候に対応できます。
    重量 1.26kg。重量差は1,260g−590g=670gです。

■登山靴


ローカットの登山靴は軽量です。中でも特に軽量なのは、トレイルランニングに使用される靴です。ただし、小石などが入り込み易くなるので、ゲイターの装着が必須です。クッション性を犠牲にした製品も有るので購入の際、確認しましょう。また、ハイカットの登山靴に比べ、足首のガードも弱くなります。岩場などが多い場所では、慎重に足を運ぶ必要が有ります。

  1. コロンビア カルドラドⅢ
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    【送料無料】Columbia Montrail(コロンビア モントレイル) CA…
    価格:14641円(税込、送料無料) (2019/2/8時点)

    トレイルランニング用のシューズです。クッション性や履き心地が良く、多少岩場が出てくる登山道にオススメ。
    重量 292g

  2. (比較)コロンビア カラサワ2プラスオムニテック

    同じコロンビアの、防水透湿素材で作られた登山靴です。
    重量545g。両者の差は545g−292g=253gです。

■シュラフ


軽量なほど、保温性が悪くなるのがシュラフです。季節に合わせて選びましょう。軽量で高性能なものもありますが、高価です。最新のシルバーグースダウンを使用したシュラフは軽量コンパクトでオールシーズン使える性能です。

  1. シートゥサミット スパークsp1

    ダウンを180g使用し、足元も温かいマミー型のシュラフです。マイナス5℃まで対応しながら、重量は348gと軽量です。

  2. (比較)YOGOTOダウンシュラフ
    マイナス5℃まで対応した、暖かなシュラフ。コストパフォーマンスが良い。
    重量1kg。その差 1,000g−348g=652g

■食料


フリーズドライの食料が軽量です。水やお湯を加えるだけで、必要なカロリーを美味しく取る事が可能です。携行食はナッツ類などが軽量で高カロリーなのでオススメです。

  1. アルファ米100g 384kcal

    水が必要ですが、おにぎりよりも場所を取らず、カロリーも高いです。
  2. おにぎり100g 約179kcal
    アルファ米1袋と同じカロリーを取るには、おにぎりを2個食べることになります。

■ストーブ


調理の為の火力を考えれば、ホワイトガソリンなどを選んだほうが良いのですが、ウルトラライトでは火力も必要最低限な物を選択します。使い切りで、軽い、アルコールストーブを使うことで、最低限のお湯を沸かすことが可能です。クッカーも、チタン製が軽量です。

  1. アルコールストーブ
    コンパクトで軽量なのが特徴です。重量148g。
  2. (比較)SOTOマイクロストーブ
    重量は73g軽いですが、燃料230gが必要です。その差303g−148g=155gです。

■マット


地面の冷えから身を守り、十分な睡眠を得る為にはスリーピングマットが必要です。耐久性は低いですが、インフレータブルマットが軽量です。

  1. シートゥサミット コンフォートプラス インサレーディッドマット

    1回息を吹くだけで膨らみ、リペアキットも有るので安心です。重量は60g。

  2. (比較)サーマレストアウトドア用マットレス

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    (Thermarest)サーマレスト Zライト ソル R シルバー/レモン | …
    価格:7776円(税込、送料別) (2019/2/8時点)

    耐久性があり、温かい折りたたみのマットです。重量は410g。その差は410g−60g=350gです。

■比較合計


  1. リュック 1,180g−340g=840g
  2. テント 1,260g−590g=670g
  3. 靴 545g−292g=253g
  4. シュラフ 1,000g−348g=652g
  5. ストーブ 303g−148g=155g
  6. マット 410g−60g=350g

※食料は個人差が大きいので除外
合計4,698g−1,778g=2,920g
軽量化出来たのは、2,920gとなりました。約62%の軽量化です。

必須の装備

必要に応じて、装備を軽量化したり、厳選する。これがウルトラライトの考え方です。しかし、どうしても削れない部分も有ります。必須の装備をご案内致します。

■水と食料


水と食料は、量が重量に直結します。途中で給水出来ると、持参する量を大幅に減らす事が可能となります。必ず給水場所を確認しましょう。外部環境や人によって必要な水と食料の量は変化します。登山の経験を積むと、気温や日射によって必要な水と食料の量の判断が可能となり、必要最低限の量に減らす事が可能となります。

■安全面で必要なものは削れない


ウルトラライトで最もやってはいけないのは、軽量化のために安全面を犠牲にすることです。登山には、怪我や道迷いのリスクが、常につきまといます。ファーストエイドや、地図、予備バッテリーなどは万が一の時に必要ですので、必ず携行しましょう。

■天候に注意


山の天気は不安定です。レインウェアは必ず携行しましょう。

まとめ

  1. ウルトラライト装備で軽快な登山ができる
  2. 厳選したギアで安全な登山が可能になる