リュック

荷物を軽く感じるからスピードアップ!登山リュックの選び方

登山では自分の体や、目的に合ったリュックを使いましょう。長時間背負うリュックは、自分の限界を左右する重要な登山用具です。例えば太いヒップベルト。普段使うには大きすぎて邪魔になりますが、登山では重い荷物も軽く感じられる効果があります。




疲労を軽減する登山用リュックの役割

山は天候の変化が激しい過酷な環境で、対応する為の装備が必要です。登山用リュックには装備を過酷な環境下でも運べる役割が求められ、日常生活用のリュックより丈夫で多機能です。サイズが豊富な為、自分の体格に合わせた選択で、疲労軽減が可能です。容量も様々あるので、登山計画に合わせて選びましょう。

リュック選びのポイント

■自分の背中のサイズと合わせる


リュック選びで大切な事は、胴の長さ(背面長)とリュックの背面の長さを合わせる事です。首の付け根から、腰のあたりまでを使ってリュックを背負うからです。背面長は第七頸椎から腰骨最上部までの長さです。メジャー等で測って、メーカーのHPなどから、自分に合うリュックを探しましょう。サイズは、S/M/Lなどで分かれています。また、登山用品店での試着をお勧めします。試着する事で、カタログの数値では分からない感触を確認出来るからです。

■ヒップベルト


登山用リュックの大きな特徴として、ヒップベルト(ウエストベルト)の存在があります。腰とリュックを固定する、太く大きなベルトです。ヒップベルトがリュックの重量を受け止め、バランスを保ちます。バランスが維持されるので、重い荷物も軽く感じます。試着の際、ヒップベルトの感覚も確認しましょう。長時間、使用するので、合わないと、意外に不快だからです。

■背面パッド


登山用リュックの背中に当たる部分には、固いフレームが入っています。これを背面パッドといい、重さを受け止めて背中に伝える役割があります。背面パッドが背中にフィットすることで、重さを分散し、登山の疲労は軽減されます。フィット感は好みがありますが、リュックとの相性を決める重要な所です。慎重に選びましょう。

■雨蓋


雨蓋は天蓋とも呼ばれます。リュックの上部に覆い被さるように付いており、雨の侵入を防ぐ効果があります。雨蓋にはポケットが付いていて、スマホや地図など小物を入れることが可能です。利用頻度の高い物の取り出しが便利になります。

モンベルグラナイトパック30

雨蓋などがついた、標準的なリュック。シンプルなデザインが特徴。

■ポケット


雨蓋だけでなく、登山リュックには様々なポケットが付いています。地図を入れるのに最適な背面ポケットや、水筒を入れる為のポケットなどがあれば、簡単に取り出せるので時間の節約になります。ポケットの使い心地が利便性を大きく左右します。必要な所に、便利なポケットがあるか確認しましょう。

マムートリチウムクレスト

収納が多く、長時間の山旅に最適なリュック

■気室とアプローチ


気室とは、リュックの内部の構造を指します。2気質ならば、リュックの内部は2つに別れていて、1気質ならば別れていません。2気室の方が便利ですが、リュックの構造が複雑になり、重量がかさみます。キャンプなどをしないのであれば、1気室で十分です。荷物までのアプローチも異なります。すぐに取り出したいカメラなどがあるのなら、荷物を分けられる2気室のほうが有利です。1気室でも、サイドジッパーなどがあれば、荷物へのアプローチは早いです。ジッパーがあることが、荷物の落下に繋がることもあるので、好みで選択しましょう。

ホグフロスローズ40

フルサイズのファスナーが付いていて、荷物へのアプローチが容易

■目的に合ったサイズ


リュックは目的別にサイズが分かれています。名前の後に付いてくる数字が、そのリュックのサイズを表し、「~30」は30Lサイズという事です。初心者には30~45Lの、日帰り登山から山小屋での1泊が可能なサイズがオススメです。

オスプレーケストレル38

標準的で使いやすいブランド。日帰り登山から1泊山小屋までに最適なサイズ

■重量


登山用リュックの用量別の標準的な重量と、軽量モデルについて紹介します。

  1. 20~30L 1000g以下 日帰り登山を想定したサイズであり、軽量でシンプルな製品が多い。
  2. 30~40L 1500g前後 日帰り登山から、山小屋泊まで可能なサイズ。
  3. 40~50L 1800g前後 テント泊をするなら必要になるサイズ。
  4. 50L以上 2000g以上 縦走登山などに使われるサイズ。

軽量モデル

モンベルチャチャパック

機能性と快適性を兼ね備えた軽量モデル。フロントが大きく開くジッパーがあり、荷物へのアプローチがしやすい。

■メーカー別特徴


  1. ドイター
    エアコンフォートシステムで、背面の通気性に定評があるドイツのブランド
  2. カリマー
    イギリスの老舗ブランド。「carry more」もっと運べるが名前の由来。国内モデルは日本人向けに作られている。
  3. ミレー
    フランスの老舗メーカー、特徴的なスリムなシルエットが、バランスを保つのに効果的。
  4. グレゴリー
    アメリカの登山家が開発、内部フレームを先駆けたフィット感が人気のブランド。登山リュック専門メーカー。
  5. モンベル
    日本のブランド。日本の山を登る目的で設計された、性能に比べて安価で購入できる。
  6. マムート
    スイスのロープメーカーから発祥したブランド。伸縮性のある素材に強く、防水素材でできたリュックが人気
  7. ホグロフス
    スウェーデンのブランド、2010年にアシックに買収された。シンプルで耐久性のある製品が特徴的。
  8. オスプレー
    アメリカの登山リュックで代表的なブランド。アルミフレームとメッシュを使用し、軽量な製品が多いのが特徴。


リュックの使い方

■パッキング


荷物をリュックに適切に収納する事で、疲労が大幅に軽減されます。

  1. 重量物は体に近づける
    重い物が体に近いほど、遠心力などでバランスを崩しにくくなります。背中に密着する箇所に、重いものを入れます。
  2. 取り出しやすい順番に収納する
    休憩時に着る防寒着などは、リュックの上部など取り出しやすい位置に収納します。
  3. ポケットを活用する
    水や地図、カメラなどは何度も取り出すのでポケットを活用します。収納のコツは1つのポケットに1種類の物を入れる事です。収納箇所が明確で、取り出しが容易になります。

■背負い方


正しい背負い方で、疲労の軽減が可能です。まずはファスナーをすべて緩め、荷物をパッキングします。そして、コンプレッションベルトで、リュックの余計なスペースを無くします。荷物が動かなくなり、歩いてもバランスを崩し難くなります。最後に、リュックを背負い、ファスナーを締めます。各所の調整を行いましょう。

  1. 肩の調整
    肩のファスナーを締めて、体にフィットさせます。ここに遊びを作らないことで、疲労が軽くなります。
  2. チェルトベルトの調整
    脇の下あたりの位置になるように、高さを調節します。そして、締めすぎない程度にチェストベルトを締めます。
  3. ヒップベルトの調整
    ヒップベルトを締め、腰とリュックを固定します。締めすぎると、腰だけで荷物を持つ事になるので注意が必要です。肩と腰、どちらかを休ませながら歩くと良いでしょう。その調節をヒップベルトで行います。登山用リュックの使い方は以上です。基本はあくまで、腰です。腰で荷物を背負う感覚を忘れないようにしましょう。


まとめ

  1. 自分の背中の長さを計り、メーカーのサイトを参考に、フィットしたサイズの登山リュックを選択する
  2. 各所ファスナーを適切に締めることで、リュックを腰で背負うことができ、疲労を軽減する