東日本の秘湯温泉!登山中級者なら目指したい山中の温泉

徒歩でしか行けない、数々の魅力的な秘湯が山の中には有ります。東日本の名山を中心に、登山中級者ならぜひ目指したい、おすすめの秘湯温泉をご案内致します。更に、秘湯温泉を楽しむ為の登山の基礎知識・装備もご紹介致します。




計画の立て方

山の中での温泉入浴は大自然に包まれ、心も体もリラックスできます。しかし、有毒ガス・ルート・野生動物等の危険も存在します。自分の技能に合った秘湯を以下の点に気を付けて検討しましょう。

■目指す温泉の情報収集


  1. 温泉が混浴か男女別浴か
    混浴の場合、必要に応じて「湯浴み着」や「水着」を持参する。
    ※利用の可否は施設に確認の事
  2. 日帰り入浴の可否。入浴可能時間帯。
    宿泊客のみ入浴可の場合も有。

■山の情報収集


  1. 火山活動の状況
    秘湯温泉は活火山地帯に集中しており、確認が必要。状況は気象庁のHPで確認可能。
  2. 登山ルートを確認して、自分の登山レベルで登れるか確認。
    (岩場・沢登り・雪渓は特に注意)

入湯のマナー

■シャンプー・石鹸の利用可否を入湯前に確認する。

山の温泉では使用出来ない場合が多いです。

■周りに迷惑をかけない。

  1. 大声を出したり、騒いだりしない
  2. 飲酒はなるべく避ける。
    登山では予想以上に疲労します。アルコールで体調不良を起こす可能性有
  3. 浴み着・水着での入浴は、周りに一声かけてから入浴する

安全対策

■増水した渓流に近づかない


増水している、渓流や河原の近くの天然温泉には入浴しない。
(例:群馬県「尻焼き温泉」は川自体が温泉)

■有毒ガスの発生場所には近づかない


  1. 事前に山の情報を調べて、有毒ガスが付近に噴出している場所には近づかない。(過去に東北地方の有名温泉で何度も硫化水素ガス中毒の事故が発生しています。)
  2. 山と山の鞍部にある無風の温泉はガス中毒に注意。有毒ガスが溜まりやすい為。

■動物・虫に注意する


  1. 山奥の秘境温泉がある場所は、熊などの野生生物が生息。
  2. 東北地方の低山では、夏にアブやブユが大量発生。

■天候急変に注意する


  1. 渓流沿いの露天風呂などは特に増水に注意。
  2. 悪天時の入浴は避ける。体調不良で登山自体に支障が出ます。

■人間にも注意


  1. 女性の単独行動は避ける
    山の中は照明が無いので暗く、秘湯は、ほとんど混浴です。グループで入浴すれば、複数の眼で周囲の状況に注意し、防犯効果を高める事が出来ます。
  2. 湯あみ着や水着を活用する
    山中の露天風呂は遮蔽物が無く混浴です。特に、「湯浴み着」や「水着」を活用しましょう。入湯時は着用の旨を周りに一言。
  3. 入浴中も周囲に気を配る
    油断しない。男性が入浴している時は、極力短時間で入浴を済ませるか、場合によっては入浴を止める。
  4. 衣服・持物を守る
    ザックや着替えた衣服は、アウターを被せて中身が見えないように工夫する。また荷物を浴槽から離れた場所には置かない。特に貴重品はジップロックなどに入れて肌身離さず持つ。

秘湯での入浴に必要なグッズ

■必須のグッズ


山の温泉への入湯は以下のグッズが必須です。尚、シャンプーや石鹸は、禁止の場合が多いです。

【ウェア】

品名 留意事項
浴用ウインドブレーカー 着脱が簡単で、素早く着替えられる入浴専用のもの
着替え兼用バスタオル 首から足下まですっぽり隠れる大きさのタオル
湯浴み着or水着 化繊素材で乾燥しやすく透けないもの
浴用タオル 乾きやすい化繊のものがオススメ

【持ち物・道具類】

品名 留意事項
ビーチサンダル 入浴前後、衣服の着脱時に便利。軽めのものが良い
ジップロック 貴重品など水に濡れないようにしまう
懐中電灯(ヘッドランプ) 夜間に入浴したり着替えたりする時に必須

■便利グッズ


あると便利ですが、ザックの総重量を勘案し、取捨選択下さい。

品名 用途・目的
レジャーシート 着替える時に足が汚れない。衣服を巻いてしまえる。
小型のランタン 暗闇の中で安心して入浴できる。
自撮り棒 秘湯に入っている姿を自分で撮影するため
防虫スプレー 水のきれいな場所に住むブユやアブ対策
携帯トイレ
簡易軽量テント 着替え時に利用します。特に女性は重宝します。

【完全保存版】登山中級者でも手軽に行けるおすすめ秘湯温泉2選

■くろがね小屋温泉


概要
「くろがね小屋温泉」は安達太良山※1の山頂付近に湧いている山の温泉。徒歩だけで、登山中級者が安全に行ける数少ない秘湯。泉質は白濁した硫黄。湯温は適温。鉄山の燃えるような紅葉と大岸壁が広がります。日帰り入浴も可。名物は「手作りカレー」。
※1安達太良山 福島県 日本百名山 標高 1700m 歩行距離 8.1km コースタイム 3時間25分

アクセス
マイカー▶︎東北自動車道二本松IC⇒(40分/車)⇒奥岳あだたら高原スキー場駐車場※1⇒ゴンドラ山麓駅⇒(10分/ゴンドラ)⇒ゴンドラ山頂駅⇒ゴンドラ山頂駅⇒(70分/歩※4)⇒安達太良山⇒(25分/歩※4)⇒峰の辻⇒(25分/歩※4)⇒くろがね小屋⇒(25分/歩※4)⇒勢至平⇒(60分/歩※4)⇒奥岳あだたら高原スキー場駐車場
※2 駐車場約200台(第1駐車場は一日1,000円 他無料)
※3 公共交通:JR二本松駅⇒(シャトルバス/福島交通)⇒奥岳あだたら高原スキー場 料金大人500円
(10/1から11/4:奥岳行きは一日4便 要確認)
※4 ゴンドラ山頂駅からのコースタイムは「日本百名山 山歩きガイド上 JTBパプリッシング」を参照

宿泊
●宿泊先名
くろがね小屋
●定員
50名
●料金
宿泊6320円(大人)、日帰り入浴 410円(大人) 210円(子供)
●連絡先
090-8780-0302(衛星電話)

■三斗小屋温泉(栃木県)


茶臼岳より主峰「朝日岳」を望む

概要
「三斗小屋温泉」は栃木県「那須岳」の麓に沸く北関東を代表する秘湯。
朝日岳※5の麓にある三斗小屋温泉は「煙草屋旅館」「大黒屋」の二軒の温泉宿。いずれも鄙びた登山者専用の温泉旅館です。絶景の露天風呂を楽しみたいなら「煙草屋旅館」。透き通るようなお湯と檜造りの湯船を堪能したいなら「大黒屋旅館」を選択。どちらの旅館も温泉に入るには宿泊要。(日帰入浴不可)
※5 朝日岳 標高 1917m 歩行距離 9.4km コースタイム 5時間50分 那須岳とは百名山の一つ主峰「朝日岳」と茶臼岳、三本槍岳の総称。噴煙を上げ続ける茶臼岳。なだらかな山容の三本槍岳。その手前の荒々しい独立峰が盟主「朝日岳」。

アクセス
マイカー▶︎東北自動車道那須IC⇒(19km)⇒那須ロープウェイ山麓駅駐車場※6⇒那須ロープウェイ山麓駅※8⇒那須ロープウェイ山頂駅⇒(40分)⇒茶臼岳⇒30分⇒峰ノ茶屋跡避難小屋⇒(50分)⇒朝日岳⇒(50分)⇒隠居倉⇒(50分)⇒三斗小屋温泉⇒(70分)⇒峰ノ茶屋跡避難小屋⇒(60分)⇒那須ロープウェイ山頂駅
公共交通▶︎JR東北本線黒磯駅⇒(約1時間/東野バス※7「山麓駅前」行き 1300円)⇒那須ロープウェイ山麓駅
※6 駐車場無料
※7 問合せ先:東野交通 電話0287-62-0858
※8 那須ロープウェイ 電話0287-76-2449
※9 那須ローブウェイ山頂駅からのコースタイムは「日本百名山 山歩きガイド上 JTBパプリッシング」を参照

宿泊
●煙草屋旅館 連絡先 TEL 090-8589-2048(現地衛星TEL)
0287-69-0882(那須塩原案内所)
営業期間 冬期休業期間有り 例年4月から営業再開
宿泊代金 一泊二食 大人 税込 9,000円 小学生以下7,000円
●大黒屋旅館 連絡先 電話 090-1045-4933(現地)
0287-63-2988(黒磯案内所)
冬期休業:例年12/1~ 営業開始日:例年4/15~
宿泊代金 一泊二食 大人:税込9,500円 素泊まり:6,000円、子供:8,500円

まとめ

  1. 火山ガス・増水した渓流は避ける。
  2. 秘湯はほとんど混浴。特に女性はグループで行き、単独行動は避ける。又、着替え兼用バスタオル・湯あみ・水着を活用する。
  3. 安達太良山「くろがね小屋温泉」は徒歩だけで、登山中級者が安全に行ける数少ない秘湯。日帰り入浴可で名物は「手作りカレー」
  4. 那須岳「三斗小屋温泉」は北関東を代表する秘湯。温泉宿は二軒有り、絶景の露天風呂を楽しみたいなら「煙草屋旅館」。透き通るようなお湯と檜造りの湯船を堪能したいなら「大黒屋旅館」