増える登山用具を断捨離。装備を厳選して目指す「軽快ミニマリスト」

アウターを雨具で代用し、クッカーは煮る事に特化。持参する水は途中の補給でカバーして、ザックの重量を3kg減。山小屋や避難小屋を活用し、装備を必要最低限にする事で軽量化とコンパクト化を実現。ミニマリストになる事によって山行の負荷も軽減する。




ミニマリストのメリット

■ミニマリストとは


持ち物を出来るだけ減らし、必要最小限の物だけで暮らす人を「ミニマリスト」と呼んでいます。登山においてもミニマリストの考え方が最近脚光を浴びています。不必要な荷物はザックの重量を増し、山行の負荷を高めます。本当に必要な物だけを持つ事で軽量化を図り、快適な山行を実現する事が出来ます。



■装備の軽量化


ザックの総重量はもちろん、アウターや登山靴など装備全般の軽量化を図ることで、次のようなメリットが生まれます。

  1. 体力消耗の防止
  2. コースタイムの短縮
  3. 転倒、転落のリスク軽減
  4. 管理し易さ
  5. 必要経費の削減
  6. 保管場所の省スペース化

この中で特に、「体力消耗の防止」や「岩場や雪渓での転倒や転落のリスク軽減」は、安全な登山をする為に、特に重要です。

ミニマリストのデメリット

ミニマリストのスタイルにはデメリットもあります。道具を減らす事でのリスク増加です。以下の点に留意しましょう。

■リスク


装備を絞る代償として、次のリスクが生じます。

  1. 装備が限定されているので、万が一の危険に十分対応できない。
  2. 宿泊を伴う登山では山小屋か避難小屋を利用する必要が生まれる。
  3. 持参できない装備品を補うための「知恵」と登山全般に関する「豊富な経験」が必要。

■安全確保


安全確保の為、次の点に注意しましょう。

  1. 安全に必要なものは省かない(具体的には水筒、非常食、雨具、登山地図など)
  2. 山小屋利用(非常食だけ準備が必要。山小屋にたどり着ける行程計画と体力が必須)
  3. 避難小屋利用(低体温症や疲労凍死を防ぐための最低限の食料と飲料水、寝具は必要)

予定している山行が山小屋や避難小屋利用であればテントは不要です。ビバーク用のツェルトザック1つ持参すれば問題はクリアできます。ただし、山小屋や避難小屋にたどり着くことが出来ないようなアクシデントも発生します。不測のトラブルを想定して登山計画は作成しましょう。

ミニマリストの具体例

■衣類のミニマリスト


  1. アウター
  2. 雨具をアウター替りにすると衣類を1つ減らす事が出来ます。雨具にも生地の薄いものと厚いものがあります。厚いタイプは重いですが、防水性・防寒性に優れています。薄いタイプは軽量・コンパクトで収納性に優れています。アウターの持参が必要な場合でも、状況に合わせて、軽量なタイプを選ぶ事も出来ます。例えばモンベルの「EXライトウィンドジャケット」がおすすめです。「防風」、「撥水」、「ストレッチ性」、「保温」、「通気」の5つの優れた特徴を持つ素材は「パリスティック エアライト」という極細のナイロン糸。抜群の軽量性と薄さを兼ね備えながらも、十分な強度を実現しています。軽量・コンパクトをモチーフに製作されたEXライトウィンドジャケット。その重さは45g。同じモンベル社のアウター「ソフトシェル」の重量が約450g。10分の1の重さしかありません。それほど軽量・コンパクトなウィンドジャケットですが、春から秋にかけてならアウターとして十分活用できます。

  3. 肌着・下着
  4. 速乾性があって、軽量かつコンパクトに収納できる肌着としておすすめが「モンベル ジオラインM.W.」シリーズです。平均重量は約100g。価格も2千円台から3千円台。軽量で速乾性に優れ、しかも薄手です。伸縮性もあって登山には最適な商品の一つ。

■登山用具の厳選と軽量化


用具の厳選と軽量化が重要です。現地調達できる物は省き、代用・兼用できる物も考慮しましょう。ただし、最低限、次の用具は必要です。

  1. ザック
  2. ザック(リュックサック)は容積と重量を低く抑えることがポイント。専門店ではテント泊用として40Lから60Lのザックを推奨する例が多いです。(縦走登山では65L以上の冬期テント泊対応なども)しかし、ミニマリストの登山では30L程度のザックで十分。テント本体や重量・容積のあるシュラフは不要です。必要最低限の装備品を詰め込むことが可能な、軽量かつ容量の少ないザックを選ぶことが大切。

  3. 食料と水
  4. 水分はザックの総重量を重くします。ご飯やおかずは、アルファ米やフリーズドライなどの乾燥タイプを選択しましょう。飲料水は水場や山小屋で給水できる事も考慮して、持参するのは必要最低限に。1Lの水を減らす事ができれば1kgの軽量化が図れます。

  5. クッカーとコンロ
  6. クッカーの重量を減らすには、軽量なものを選ぶか、点数を減らすかです。軽量な素材は・チタンがあります。特にヴァーゴの「チタニウムトラベルマグ」は重さが65gしかありません。税込価格が8,760円(税込)と値段は張りますが、強度と腐食に強くぜひおすすめしたいクッカーの一つです。容積を減らすならスタッキングです。ベルモントの「チタンスタッキングクッカー(税込価格5,184円)」が特におすすめ。下には浅いタイプの鍋、蓋はフライパンです。また鍋の中には110g程度のコンロを収納できるすぐれものです。さらにクッカーとコンロのミニマリストを進めるなら、「持たない」という選択肢もあります。食事は山小屋で済ませ、クッカーもコンロも持参しない山行計画を作るのも一つです。

  7. 救急用具・薬
  8. 「ちりも積もれば山となる」の典型が医療品。瓶や箱は重く嵩張ります。軽量で小分けの出来る携帯用のプラスチックパックが販売されています。薬や絆創膏は瓶や箱から出して、プラスチックパックやジップロックに入れると濡れ防止になります。量も最低限にしましょう。切り傷や骨折に対応するための包帯や三角巾は大判のバンダナで代用可能です。

  9. 登山靴
  10. ローカットなら300gから400g程度。ミドルカットでもキャラバン製C1-02Sモデルなら600g弱。ノースフェイス製トレッキングシューズVerto S3Kシリーズは春夏秋の3シーズン対応可能で重量も600gです。また、更に軽量なスポーツシューズでトレッキングする事も可能です。例えばホカオネオネの「SPEEDGOAT2」なら1泊程度の登山程度であれば何ら問題ありません。重さは278g(27.0cm)。耐久性に優れ、安定感やフィット感が抜群です。深く刻まれたビブラムⓇアウトソールは、起伏の激しい登山道や岩場でも抜群のグリップ力を見せてくれます。価格は14,000円(税別)ほどしますが、トレッキングにも使用可能なスポーツシューズです。

■断捨離


不要になった登山用具は積極的に「断捨離」しましょう。ヤフーオークション(通称ヤフオク)やアマゾン、メルカリなど国内には新品・中古品の販売サイトが多数存在します。この中で最も手軽に販売できるのがメルカリです。

  1. メルカリのメリット・デメリット
  2. メルカリの出品手続きは簡単です。サイトに個人登録し、出品したい商品をカメラで撮影し画像を送ります。商品が売れれば品物を発送します。商品が届いたら出品者と購入者が互いに評価を行い取引終了。売上はサイトを経由して現金で受け取れます。この簡単な販売方法がメルカリ最大のメリットです。ただし、メルカリの人気も2018年後半には一段落した感じが否めません。以前ほど商品が売れなくなってきています。原因は出品数の多さと、購入者が賢くなったせいです。サイト開設当時ほどのメリットは少なくなっています。

  3. アマゾン・ヤフーオークション(ヤフオク)
  4. メルカリほどの手軽さはありませんが、その人気の衰えを見せないのがアマゾンとヤフオクの2大サイト。特にアマゾンの集配システムと売買に関する安全性はヤフオクの比でありません。出品や販売代金の回収を優先するなら断然アマゾンを利用すべき。ただし、ヤフオクにせよアマゾンにせよサイトに登録し商品を販売するには、厳重な個人情報の登録手続きが必要。その代わり販売管理が徹底され、安心に商品を出品できます。巨大ネットショップであるアマゾンでは、売買した商品発送もサイトが責任を持って行っており、安全確実です。また、価格に関しては登山用具の状態や使用頻度によって全く異なります。原価を割る場合もあれば、プレミアが付いて元値の数倍以上で販売することも可能です。季節や時期など売るタイミングや出品数によって価格は変動します。しかし、根気強く商品管理を行えば、必ず売買することは可能。アマゾンとヤフオクをうまく使い分けることがポイントです。

■レンタル


登山用具を全て購入する時代は終わりました。シュラフからザックに至る登山用具のほとんどをレンタルすることが出来ます。登山用具を一品ずつ揃えていく喜び以上に、コストパフォーマンスの高さが注目されています。特に次の2つのレンタルサイトが有名です。

  1. アウトドアギアレンタル そらのした
  2. 初心者におすすめなのが「そらのした」です。登山用具だけではなくキャンプ用品全てに対応してくれています。登山靴やザックはもちろん、シュラフやテント、ランタンやカトラリーに至るほぼ全ての山道具をレンタルする事が可能です。「そらのした」のセールスポイントはメンテナンスが徹底されていること。専門スタッフによって完璧に近いクリーニングや衛生管理が施されています。

  3. やまどうぐレンタル屋
  4. アウトドアギアレンタルの専門店として、「そらのした」同様に人気があるのが「やまどうぐレンタル屋」です。バリエーションの豊富なテントやシュラフ、ウェアや登山靴、ストーブなど全ての登山装備がレンタル可能。「やまどうぐレンタル屋」の売りは、ユーザーにとって嬉しいサービスが充実している点です。レンタル品は3日前までに確実に配送され、不備や不足品があれば直ちに返品・交換が出来ます。「そらのした」同様、見逃せないレンタルショップであることは間違いありません。

まとめ

  1. 新しい登山スタイルとしてのミニマリストに注目。
  2. ミニマリストのメリットは、用具や装備の軽量化・コンパクト化による山行の負担軽減。
  3. ミニマリストのデメリットは安全性の確保。知恵と経験が必要。
  4. 登山装備は便利で安全なレンタルショップの活用を。